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農薬の深イイ話

2022.09.01

今年発生の多いカメムシ類

今年はカメムシ類の発生が多く、発生予察情報の注意報が7月28日の時点で、水稲の斑点米カメムシ類は北海道、東北、北陸、東海、近畿、四国、中国地域の18道府県で出されています。果樹のカメムシ類も南東北、関東、東海、近畿、中国、四国、北九州地域の24都府県で出されています。
今やカメムシ類は我が国の農作物にとって最大の害虫と言えます。昔はあまり問題の無かったカメムシ類の被害が何故増えたのでしょうか。

カメムシの種類数は約1000種
カメムシ(椿象、亀虫)はカメムシ目(半翅目)のカメムシ科などに属する昆虫の総称で、日本には1000種類近くが棲息していると推測されています。カメムシの体形は円形や六角形、細長いものなど色々で、大きさも1㎜程度の小さい物から3㎝もある大型のものまで様々です。カメムシの口器はストローのような形の針状で、これを植物の葉や茎、果実などに差し込み吸汁します。稲の若穂が吸汁されると斑点米になり、みかん、なし、かきなどの果実が吸汁されると汚点が生じ商品価値が著しく損なわれます。
多くのカメムシは成虫で木の隙間や石の下などで越冬します。人家にも侵入し、押し入れやクローゼットの隅などにも潜り込むことがあり、その姿と特有の悪臭があいまって各地で問題となっており、住民に生態や駆除法などを示して注意を呼び掛けている自治体も多くみられます。

カメムシの悪臭は香菜の匂い
カメムシが悪臭を出すことは広く知られ「ヘッピリムシ」「ヘコキムシ」「クサムシ」など各地でいろいろな方言で呼ばれています。この悪臭の主成分は、トランス-2-へキセナールで、「青葉アルデヒド」の異名もち、木の葉や草の醸し出す青臭い成分そのものです。香辛野菜の香菜(コリアンダー、パクチー)も、ほぼ同じ成分でかなり近い匂いがします。この悪臭は胸部腹面にある臭腺から、敵の攻撃など外部からの刺激をうけると分泌し、捕食者にたいする防御のためと考えられています。また群れている場合は仲間に対する警報の役割をはたしたり、集合ホルモンとしても利用いるようです。

大量発生の原因は針葉樹の造林か
カメムシの大量発生の原因は、戦後の復興のために全国各地で植えられたスギ、ヒノキ等針葉樹の造林のためではないかと言われています。カメムシが造林で増えたスギ、ヒノキの実(球果)を食して繁殖したため、大量発生につながったのではないかと推測されています。この因果関係に関しては様々な報告がありますが、いずれも現象面をとらえたものが多く、定かではありません。
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斑点米カメムシ類
斑点米(着色米)の発生原因は、カメムシ以外の害虫や病原菌、それに生理障害などがありますが、最も多いのはカメムシ類による加害です。水稲の籾に口針を突き刺し吸汁し、加害部位は褐色の斑点状になります。斑点は加害部位により頂上部加害型、側部加害型、無差別加害型の3つの型があり、カスミカメ類は口針が弱いため頂上加害型、大型のカメムシ類は内外頴のどの部分からでも貫通して吸汁できるため、いたるところに被害が現れ、無差別加害型になるといわれています。
斑点米(着色米)の混入は米の等級に影響します。混入率が0.1%で一等米、0.1%超で二等米、0.3%超で三等米、0.7%超では等外米に格付けされます。すなわち1000粒に2粒以上は入っていると二等米に落ちてしまいます。握り寿司1貫が約500粒ですので、1粒入っていれば格付けが下がることになります。等級によって価格に差があり、農家の所得に大きく影響します。現在の格付けが厳しすぎると見直しを求める声もありますが、米の品質を維持するためにも必要な措置でしょう。

加害カメムシは地域によって種類が異なる
稲を加害するカメムシ類は数多く知られていますが、地域によって種類が異なります。北海道ではアカヒゲホソミドリカスミカメが優先し、東北ではアカヒゲホソミドリカスミカメとアカスジカスミカメの小型カメムシ2種が多く、関東以南ではクモヘリカメムシ、ミナミアオカメムシの大型カメムシ類と小型カメムシ類が混在して発生しています。

イヌホタルイ、ヒエの穂が発生源
カメムシ類の多くは成虫越冬ですが、カスミカメムシ類は卵で越冬し、年1~数世代発生します。越冬場所は堤防、農道、草地のイネ科植物、水田に近いスギやヒノキの樹冠部や下草部などです。春先になるとメヒシバやエノコログサなどで過ごし、稲の開花期頃から水田に飛来します。収穫後はメヒシバ等のイネ科植物に移動し越冬します
水田雑草のイヌホタルイやヒエは、水稲の出穂前から穂を付けます。アカスジカスミカメは水田雑草が発生していると、水稲の出穂前に水田に侵入し増殖します。水田雑草が多い水田では斑点米の被害がより多くなる危険性があります。

対策は草刈りと薬剤防除の併用
斑点米の防除には、カメムシ類の好むイネ科植物の除草が重要です。それにはまず水田内のヒエやイヌホタルイの除草を徹底します。そして農道や畦畔のイネ科雑草の除草を水稲出穂2~3週間前と出穂期の2回行うことが大切です。薬剤による防除は穂ぞい期にカメムシ類が水田内に確認したら、乳熟初期(出穂期7~10日後)までに行い、その後も発生が多い場合は追加の防除を行います。
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果樹カメムシ類
果樹カメムシ類はかんきつ、りんご、なし、もも、かき等の果樹を吸汁加害するカメムシの総称で、果実に口針をさし吸汁し、落果、奇形果等の被害が生じます。加害するカメムシの主な種類はチャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、ツヤアオカメムシの3種です。そのうち最も飛来の多いのはチャバネアオカメムシですが、近年ツヤアオカメムシも増加傾向にあります。

カメムシ類の発生は年により変動
果樹カメムシ類は成虫で越冬します。越冬場所は常緑樹の落葉の下、樹上、樹皮のすき間などで種類により異なります。気温が上昇してきた4月頃、越冬場所から動きだし、6月頃にかけ植物の新梢やかんきつ等の花、さくら、うめ、もも、やまもも、くわの実などを吸汁します。7月頃から毬果が結実したヒノキやスギに移動して、毬果を吸汁すると共に産卵します。幼虫は毬果の中の種子を餌にして成長し、8月中旬頃から新成虫が発生します。森林で増殖したカメムシ類の成虫は、台風等の風にあおられたり、毬果が餌として適さなくなくなると果樹園に飛来し加害します。このためヒノキやスギの毬果の結実状況によって発生数や時期が左右され、年により変動します。

果樹園の飛来にいち早く気づく
果樹カメムシ類は、果樹園ではほとんど増殖しないため、山野で増殖した成虫が果樹園に飛来してから被害が発生します。これを出来るだけ早く気づき、早急に防除することが被害を減らすための重要なポイントとなります。都道府県の病害虫防除所の発生予察情報を参考に園内を観察し、発生状況を見極めることが重要です。

防除は早目に
園内でカメムシ類を確認したら、早急に薬剤防除を行います。被害防止には飛来初めの低密度時に散布することが重要です。登録されている薬剤は多くありますので、指導機関の広報等を参考に選択してください。また成虫は広い範囲に移動していますので、地域全体で一斉防除し、生息密度を低下させることが防除効果を一層高めることになります。
(2022年9月掲載)



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